ふくしま民話茶屋の会「蓮泉寺のトラ猫」の民話

ふくしま民話茶屋の会(会長 渡部八重子様・松川町)が編集・発行した「ふくしまの民話 18話」(2010年3月1日発行・タカラ印刷株式会社)にて、松川町沼袋の蓮泉寺を舞台にした「蓮泉寺のトラ猫」という民話が掲載されています。

以前ご紹介した「化け猫の恩返し!?蓮泉寺の和尚とトラ猫の昔話」と同じお話かと思いきや、内容が結構違います(猫がスタンド能力を発動するところは同じ)。

ふくしま弁を巧みに使いこなす語り部さんが、生の語りをしている様子を想像しながらご覧ください。

〇ふくしま民話茶屋の会とは:2001年に開催された「うつくしま未来博」のパビリオンの一つ、「からくり民話茶屋」に関係した福島市と伊達郡の有志で結成した会で、2002年1月に発足。ふくしま弁に誇りをもち、信達地方に生きた祖先の思いがいっぱい詰まった「民話」を語り続けています。語り部さんのふくしま弁は、生まれ、育ち、住みついた期間などで発音も言い回しも異なります。令和4年9月3日には結成20周年を記念した「ふくしま民話まつり」を福島市アクティブシニアセンター・アオウゼにて開催しました。「聞きにこらんしょ 昔話」をキャッチフレーズに、学校や学習センター、町内会に福祉施設など、民話という口承文学を広く皆様に伝えるため活動しています。

 

蓮泉寺のトラ猫
むがーしない、下川崎の蓮泉寺に一人の偉い法印(僧位の最上位)様がいらったど。ある寒い夕暮れ時、死にそうな子猫拾ってきて、暖めたり、飯くれたりして寝せたんだど。すると翌朝、猫が二貫目(約7.5kg)ぐらいにでっかくなって、その上庫裏(くり:寺の住職や家族が生活する場所)から本堂までピカピカに掃除してあって、朝飯もできてたんだど。
「これは化け猫の仕業か」
と思ったげんちも、仲良く暮らしていたのない。そのうち猫は本堂で、法印様のお経を聞くようになったど。
何年か過ぎ、法印様も年くって、体の自由がきかなくなって、村人たちから、おはらいなど頼まっちも日延べ(延期)していたど。
ところが、村人が
「井戸のおはらい、どうもない」
「建物の方角占ってもらってありがどない」
と、米や野菜を持ってお礼に来るんだど。法印様、猫に向かって
「おめの仕業か、もうやんなよ」
と言ったそうだ。
そのころ、村の子めらが
「法印様が生のドジョウ食った」
とはやし立てるようになったど。村人たちは
「寝てばかりいる法印様が、出歩くことも、寺の掃除もできんめぇ。化け猫の仕業でねぇが、退治すっぺ」
となったど。
そんなどぎ、油屋でおはらいやってもらうことが起ぎだど。
当日、竹やりの名人が、法印様の到着を待ってで、拝み始めたと同時に後ろからやりを首に突き刺したど。法印様はぎゃあと天井まで飛び上がり、どさっと下に落ちたど。
ところが、いつまでも法印様の姿だったんで、村人は
「本物の法印様か」
と心配になり寺を確認したら、法印様は、ぐっすりと昼寝しておられたど。
そのうち、やりを刺された法印様から耳やしっぽが出てきて猫の姿になったど。
「そういえばこの猫、悪いことしながったない。法印様を助けていたんだない」
村人たちは悔いて丁寧に猫を葬り、そして「トラ猫の墓」という墓標も建てたんだど。

(ふくしま民話茶屋の会)

特殊能力のある猫に出会ってみたいものです(画像は踊る猫)。